採用時の経歴詐称


経歴詐称は解雇の理由となる場合や解雇権の濫用とされる場合もあります。
大まかな基準で考えますと、「その詐称がなければ、雇用もなかったであろう」というような重要な詐称に該当するかどうかということです。

例えば、外国語を扱い語学力を必要とする募集に対して、語学力の技能がウソの経歴で技能を有していない場合や、有国家資格や経験が一定水準以上としているものに対して、その募集内容に満たないのにあたかも水準に達しているとの詐称などです。
経歴は採用後の賃金、職種その他の処遇決定で参考とされるため、経歴詐称は労働契約上での信義に反する行為であり、労働契約解除の理由として充分成立します。

反面、軽微な詐称の場合は、そのことを理由とする労働契約の解除には、解雇権の濫用とみなされ認められない場合もあります。
また、重要な詐称であっても、採用後長期間が経過しており、会社がすでにその能力について評価済みの場合も認められない場合があります。つまり、「その詐称がなければ、雇用もなかったであろう」といえなくなる場合は解雇権の濫用となるようです。
posted by 労働基準法 at 10:54 | 労働基準法で定められた労働契約

パートタイムと労働基準法、労働契約


パートタイムで働く労働者は、正社員に比べて立場が弱いとの印象がありますが、どちらも労働基準法などの労働法が適用されており、同等の扱いがされるべきものです。
パートタイム労働者が正社員と異なる点は、労働法のなかでもパートタイム労働法が適用されることです。
このパートタイム労働法は「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」、一般的に「短時間労働者」を対象にしており、呼称が「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」などと異なっていても、前述の条件に該当する労働者は「短時間労働者」としてパートタイム労働法の対象となります。

パートタイム労働法は、近年増え続けるパートタイム労働者が担う役割は、企業の中でも重要な位置を占めており、労働実態により近い法律として、適正な労働条件の確保や教育訓練の実施と福利厚生の充実など、全般的な雇用実態の改善へ向けた様々な措置を講じることにより、パータイム労働者の能力の向上福祉の増進を目的に定められた法律です。
したがって労働基準法での権利も存在しますので、正社員と同様に労働契約時に労働条件の明示を受けることは当然のこととして、その諸条件についても正社員同様に取り扱われることとなります。

しかし「短時間労働者」であることから、有給休暇や休憩時間など、実際に付与される気日数や時間などは、実態に応じたものとなります。
また、通常は賃金についても日給や週休といった単位ではなく、時間給での扱いとなり、企業の定めるところによることとなりますが、最低基準としては各都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」をベースとしています。

パートタイム労働者の労働条件等は正社員と同等とはいっても、現実には使用者とパートタイム労働者の間では、正社員と比較してもやはり立場の弱い実態は否定できません。
パートタイムで働く労働者は、正社員のように所定労働時間での労働が困難なケースが大半であり、諸事情を抱えたなかでの労働であり、特に女性の場合は産前産後休業、育児時間、生理休暇といった母性保護措置が法律で認められていましたが、実態が弱い立場のパートタイム労働者から言い出せず取得もままならないことも多々あったようです。
パートタイム労働法ではこういった「短時間労働者」を保護する観点からも定められた法律です。
また、平成17年4月からは育児・介護休業法の改正により、これまで対象外であった有期契約のパートタイム労働者も、一定の条件を満たせば取得が可能となりました。
posted by 労働基準法 at 11:26 | 労働基準法で定められた労働契約

労働契約締結時の禁止事項


労働契約を結ぶ際の労働条件の明示とあわせ、使用者にはいくつかの禁止事項があります。

労働基準法では「労働者への賃金の全額支払」が原則となっており、同法6条でも「中間搾取の排除」を定めています。
これは、労働者が働いて得た賃金を、第三者が不当に中間搾取をすることを禁じるものです。
最近ではあまりないと思いますが、以前には労働者を工事現場などに紹介し、本来その労働者が受取るべき賃金の10%など、一定の割合を紹介者が受取るような営利目的の実態があったようです。
労働者は賃金を全額受取る権利を有しているにも関わらず、賃金の一部をピンハネすることは、明らかに労働基準法に違反するばかりか、そのような職業紹介や中間搾取を容認する前提での募集や供給行為は、職業安定法にも違反することになります。

また、人材派遣会社のように労働者を企業に派遣し、企業から派遣に対する収益を受けることは、一見中間搾取のようにも思えますが、派遣された労働者の雇用契約は派遣会社との間で締結されており、派遣先会社との間に雇用関係は存在せず、賃金は派遣会社から全額受取ることになるため、雇用関係のある派遣元と労働者の間には第三者の存在はなく、中間的な搾取も存在しないことになります。

以下の禁止事項は、労働者を守るための禁止事項です。
  1. 制労働の禁止

  2. 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならないことになっています。

  3. 賠償予定の禁止

  4. 会社を辞める際の違約金を定める場合や、会社に損害を与えた場合の賠償予定額などをあらかじめ契約に定めることは、不当に労働の選択を阻害する恐れがあり禁じられています。しかし実際に会社に損害を与えた場合に、労働者の賠償責任をすべて否定したものではありません。

  5. 前借金相殺の禁止

  6. 労働者に対して働く前提での前貸し金がある場合、会社はその労働者の賃金から貸し金を相殺してはいけないことになっています。これは労働基準法第24条での「賃金全額支払」の前提とともに、労働者に対しての強制労働などを防止する観点からです。しかし給料自体の前借や、住宅資金などの借り入れなどは該当しません。>/dd>
  7. 強制的な貯金の禁止

  8. 一般的に使われる言葉で「天引き貯金」ですが、使用者が労働者から強制的に賃金の一部を貯蓄にあてることは禁じられています。貯蓄をする場合は労働組合もしくは社員代表との書面協定を、労働基準監督署に届出ることなど、労働基準法に定められた諸条件を満たさなくてはなりません。

  9. 契約期間等についての禁止事項

  10. 契約期間を定める場合、例外的に高度の専門知識や技能などを有する場合は3年までとしていますが、通常は原則として1年を超えることはできず、また契約期間に定めがあっても、契約期間が経過しても労働者が継続労働している場合、会社側からの意義がない限り、同一労働条件による契約更改をされたとみなします。
    一般的には雇用期間期間を定めないことが多く、この場合でも期間の定めが無いといっても、契約解除に値する正当な理由が無ければ解雇をすることはできません。

このように労働契約を結ぶ際の禁止事項は、労働者の不当な拘束や強制労働などを排除し、労働の自由や賃金を受取る権利を保障することなどを目的としています。

posted by 労働基準法 at 09:18 | 労働基準法で定められた労働契約

労働契約での労働条件の明示


労働基準法第15条では「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」としています。
この明示とは、口頭か書面のどちらかということになりますが、「賃金決定、計算、支払い方法、締め切り、支払い時期」は書面での交付をしなければなりません。
では明示する労働条件とは具体的には以下の内容となります。
書面で明示しなければならない労働条件

  • 労働契約の期間に関する事項(期間の定めのある労働契約の場合はその期間、期間の定めがない労働契約の場合はその旨)

  • 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

  • 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

  • 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金、賞与等の賃金を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

  • 退職の事由及び手続き、解雇の事由及び手続き等、退職に関する事項(解雇の事由を含む)

定めのある場合に明示しなければならない労働条件
  • 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

  • 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与並びに最低賃金額に関する事項

  • 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

  • 安全及び衛生に関する事項

  • 職業訓練に関する事項

  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

  • 表彰及び制裁に関する事項

  • 休職に関する事項

労働条件には賃金労働時間などで、一定の事項については書面での交付を義務付けていますが、就業規則への明示がしてあればそれでよいことになっています。
posted by 労働基準法 at 09:43 | 労働基準法で定められた労働契約

労働基準法で示す労働協約とは


労働契約は、労働者が使用者の指揮命令のもとに労務を提供し、使用者がその対価として賃金を支払うことを「労働契約」といい、労働基準法で契約の基準について定めています。

この法律違反の契約
労働基準法第13条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。

以下、同23条まで以下の内容を定めてあります。
労働基準法第14条   契約期間等
  〃  第15条   労働条件の明示
  〃  第16条   賠償予定の禁止
  〃  第17条   前借金相殺の禁止
  〃  第18条   強制貯金、解雇
  〃  第19条   解雇制限
  〃  第20、21条 解雇の予告
  〃  第22条   退職時等の証明
  〃  第23条   金品の変換

労働契約というと契約書の取り交わしのようなイメージがありますが、契約そのものは書面での取り交わし以外にも、口頭での「雇う」「雇われる」との合意でも契約を結んだことになります。
なんだか口頭での契約の場合、労働者側が一方的に不利な条件での契約になるような気もしますが、労働基準法では労働条件の明示や禁止事項の定めなど、労働者を保護する基準が定めてあります。

また労働契約は、労働基準法以外にも労働組合法での労働協約や就業規則、その他いろいろな法令により制約を受けており、立場の弱い労働者側を保護する仕組みを持っています。

(法令及び労働協約との関係)
労働基準法第92条 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。

(効力)
労働基準法第93条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

このように労働契約は単独での判断とはならず、法令労働協約就業規則>労働契約、といった法的な効力の順位を持つため、いくら労働者と使用者の合意した労働契約であろうと、前述の法令、協約、規則などに違反する労働契約は無効ということになります。
posted by 労働基準法 at 09:23 | 労働基準法で定められた労働契約
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